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に近付き、アジアの多くの港が大量のコンテナを効率良く取扱える時代に入りつつある。ここから、将来的には港流間で料金の国際競争が起こってくると予想したら間違いであろうか。

 

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事実シンガポールは、今年の五月から年末までの間はコンテナ船の入港税を二〇%割引くと発表した。これは、今年の一月から入港税を十年振りに一〇%板上げしたところ、港城外での作業の増加と、周辺地域港湾への船舶の直接寄港の増加とが明らかに認めめられ、第1四半期、シンガポールのコンテナ貨物が減少したと伝えられる事態に、機敏に対応したものである。割引きによる今年の減収は二億円ほどで、金額的には大きくはないが、この措置は、シンガポールが競争を意識して料金を低く維持し、競争港にとって楽ではない状況を作る決意の表れと受けとられている。
気がかりな日本の港湾
欧米船社の東京の責任者数人が、この春公開の席で日本の港流についてこもごも発言したことがある。
ターミナルのスペースー?当りのコストは日本では一〇〇ドル掛るが、高雄港では四○ドル、笠山港では二五ドル。荷役料金はというと、日本の上要港では四〇フィート・コンテナ当り三五〇ドル掛るが、シンガポール、高雄が一五○ドル、バンクーバーが一一〇ドル、ロッテルダムが一六〇ドル、ハンブルクが一七〇ドルと、先ず指摘があった。
加えて日本の港湾荷役関係での事前協議制度の変化があまりに緩慢で、フラストレーションを感ずる、ステベドアリング会社の間の競争促進はどうしたら可能になるのか。労働者の週休二日、月給制の中でも、週七日オープン、二四時間荷役は可能なのではないか。船が一日滞船していると、二五○万円以上のコスト増になる。荷上はそうしたコスト増に見合う対価を支払おうとはしないのだから、船社としてはコスト削減を図るしかない。コスト削減が出来なければ、外同船社の日本寄港を確保出来なくなる懸念がある−と、彼らは言っていた。
「日本の港は提供サービスの質において痛ましいほど欠けている(sadly lacking)」(MaritimeAsia誌、五月号)と、海事専門誌も書いている。日本がコンテナ港湾で先輩面をしていられる時代は、とうに過ぎたようだ。
シンガポール港湾用は、「より早く、より安く、より効率的に」を目標とする研究の開始について、この七月、国内の技術系大学と基本合意をした。提案検証用のシミュレーション・モデルを含めて、予算は約二億円と言う。
アジア一円の港湾間で船とコンテナを取り合う価格競争の時代がいずれやって来よう。サービスと価格が港湾競争の焦点となる時代に、日本の今の体制は耐えられるのであろうか。

 

 

 

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